2023.02.26
作り手さんたちに心惹かれて・・・「松本紬」
◆人柄に惚れてしまった松本さんの紬
今回は作り手さんへの想いを少し。
毎月、いろんな方たちのお品をご紹介させていただいてますが、お気に入りというか心惹かれている作り手さんたちがいます。
まずは新潟の松本ご夫妻が作る紬、私どもでは「松本紬」として皆様にご紹介してます。
お品を見て触ると、柔らか~くそして味わい深い色合い。
「なんでこんな風合いなんだろう?」
いつもそのように思ってました。
実際松本さんたちにお会いしてお話しを伺うと感覚的に理解できたような気がしました。
先代が十日町へ訪問した際ご紹介されてからのお付き合い、糸以外はご自身たちで、草木染の染料となる草木はご主人が、織は大半奥様がされています。
◆この写真がたまらなく好きなんです・・・( *´艸`)
5年ほど前に会をさせていただいた時、資料になる写真をご用意していただきました。
その中の一枚がバイクにたくさんの草花をのせている写真!
何度見てもホッコリして実際に乗っているところを見たわけではないのですが「想像できる~」とときめいたものでした。
(※ちょっと変態的ですねぇ・・・(^_^;))
松本さんとの会話で印象的なのが「俺、これしかできないからなぁ・・・」と仰ったことです。
松本さんたちの技法が「ザ・草木染」と言っても過言ではない工程で作られてます。
草木を摘みに行き、細かく刻み、湯で煮だしそして何度も繰り返し染める・・・
◆去年の展示会の時にご用意していただいた染められた糸たち
近年の技術進化で考えれば手間ひまかけすぎるくらい・・・草木の染料も販売されているし・・・
それでもこだわって今もその工程で作られています。
こんなこともおっしゃっておられました。
「高いお金を出していただくのだから、最初に見て気に入っていただいた色が変わらないようにいつも堅牢度を考えてます」と。
日に焼けたりということも良く聞く話ですし、草木染はどうしても色が変わっていくものです。逆に「育てる着物」としてご紹介もしています。
そこにもこだわってる松本さん。今でも月に1反か2反織れるかどうか・・・
「生活のリズムを変えたくない」
「変えてしまうと今まで作れていたものが出来なくなってしまうかも・・・」
そう話す理由を聞いて感銘を受けました。
◆「臭木」で染めると温かみのあるグレーになるのですね・・・
私どもは松本さんたちを、「松本紬」を知っていただきたくさんのご注文をお受け出来たらと考えていたのですが自分たちが作りたいものの"品質"を維持するためなんだそうです。
自分の思っていたことが松本さんたちには返って迷惑な事だったのかと・・・とても申し訳ない気持ちとどこかで勘違いしていた自分に腹が立ったものでした。
「松本紬」で一番好きなのはやっぱり"無地"。
写真のグレーは「臭木」で染めたもの。
グレーなのに温かみがある・・・不思議な感じです。
「松本紬」の証紙には、灰汁精錬している事と何で染めたか分かるように植物の名前を記載されてます。
「大切な大地の恵をいただいたのだからその植物の名前も一緒に覚えてほしい」
松本さんらしいですね・・・
去年開催した時にはたくさんの方にお越しいただき、またたくさんのご注文をしていただきました。
ゆっくりではありますが、1反1反丁寧に作っていただいております。
◆急遽開催したお話し会にはたくさんの方にきていただきました
沢山の方に喜んでいただいたので
「2年がにまた開催させてください!」
そうお願いしたのですが・・・
「新しいものが用意できないから4年か5年後にしてもらえないですか?」
こちらも松本さんたちらしいお返事です。
松本さんに「行っても良いよ!」と言っていただけるまで焦らずゆっくりと待つこととします。
沢山ではないですが、松本さんの紬を置いております。
ご覧になりたい方、ご興味がある方はどうぞお尋ねください。
叶や 桑原