たのしいきもの 叶や

2023.02.24

「着物がある生活」で気づかせてくれる事

◆以前に撮影したものです

今回は「着物がある生活」についてです。

私個人として、洋服も好き、スーツも好き、ジーンズも好き、作業着も好き、古着も好きと着るものに関してはほとんどの物が好きです。

そして人様違うところは「着物を着る」という所です。

この話は来られる方にはほとんどお話ししている事(しつこく言ってご迷惑をかけているかも・・・)なのです。

職種なので「着物を着る」こと自体大した話ではないのですが、皆様も"着る"ことで色々と気づかされることがあると思います。

最初はなんだかみられているようで気恥ずかしい気持ちに、そのうち慣れてきてちょっと気取って歩いたりなんかして・・・

そうしていると着崩れが気になって、襟元を何度も直したり・・・

(元々ナルシストの気があるので・・・)

◆夏・単衣のものです

また、「姿勢が悪い!」とお客様からの指摘で常に胸を天井に向けるように意識していると年末の健康診断で身長が1㎝伸びてました!

着物を着ると動きなど意識するようになります。

歩き方、立ち方、物の取り方などなど・・・

時間が経過していくと、他の方が着てられる姿を見ながら「何が違うのかな?」と思い質問して情報を得ながら改善していきました。

基本的に最初は木綿着物やゆかただったので、色や柄だけで選んでました。

奇抜な色(黄緑とか・・・※写真は昔過ぎてございません・・・)で楽しめてもいました。

しかし、春・夏・秋は何とかなっていたのですが、やはり冬は寒い!

おまけにシワや生地の伸びが気になり出して・・・

そうするとなんとなく素材などにも興味が湧きだして・・・

やはり絹物は良いですね~

スッとした出で立ちで絹独特の光沢に惹かれていきました。

そして作り手さんやその担い手の方にお会いする機会が増え益々織や染めに興味を持つようになってきたのです。

だいぶ前置きが長くなってしまいましたが、「着物を着る」ということは一般的な人と比べて「人生得をしている!」と思っているのです。

◆近江縮に桐生絞りの帯を!

それはそれぞれの「洋服の良さ」だけでなくさらに「着物の良さ」も知っているからです。

以前にも触れましたが、日本人の「美の感性と色彩感覚」は世界に誇れるレベルの物だと思います。

着物の事だけで例を挙げますと、例えば帯揚げもしくは帯締め1つ変えるだけでまた合わせる色によってイメージを一新できる、男性で言えば角帯だけでも雰囲気を変えられる、それぞれほんの数㎝の事なのにこれだけ全体に影響を与えてくれる事に改めて驚きを感じました。

着物や帯の柄をほんの少しずらしてみたり、反物の柄を非対称にしてみたりと・・・

大げさかもしれませんがいろんなお品に触れたりしていくと日々感銘を受ける事ばかりです。

もう一つ、構造上ほぼ反物を真横に切るだけですので洗張りをして反物に戻し再び仕立てる事ができる・・・

日本人の「ものを大切にする心」の真骨頂ではないでしょうか?

◆女性用の「番傘」柄の夏着物!

数年おきに洗張りしてもう一度仕立ててさらに数年後洗張りをして・・・

傷んで来たら最終的には雑巾にして生地の役目を全うさせる・・・

なんだか尊いことですねぇ・・・

その他にも、技法の成立ちや歴史、卓越した技術保持者(人間国宝の方など)、技術を継承する人伝承する人、作る側だけでなく、仕立て師さんや悉皆屋さんなどなど私どもの業種に携わってらっしゃる方々は「良いものを作る、守っていく」と思われている方がほとんどだと思います。

もちろん、商売ですので色々な会社様の考え方や運営の仕方はあります。

そんな中で私どもは諸先輩方が作ってくれた繋がりを意識しつつ大切に守りながら関わってくださる方々をご紹介していきたいと思ってます。

すべての方々に"感謝"です!

最後にこのような生活を皆様にしていただければと思い「着物を着る生活」を私の理想で"妄想"してみました・・・

以前にも投稿したのですが改めて一読願えたら幸いです・・・

休みの前日に明日着る着物を用意する

何を着ようか?
帯は何を合わせようか?
帯揚げは?
帯締めは?
コーディネートはどれがいいかな?
当日は少し早く起きて着付けをする
衿がキチンと整った、帯を結んだ形がキレイにできたなどなど…
日々の暮らしとは違うもう1人の自分へ…
週末や月一の”違う自分"になる
 
仕事の時、着飾る時、くつろぐ時など洋服生活に「着物」が加わったら…
着る事=ファッションだけでなく作り手の想い、職人の技、伝統や歴史に心を整え動作一つ一つを意識して…
受け継がれてきた色彩感覚、柄の構図など「着物」だからこそ感じられることがあります
 
日々の暮らしに心も穏やかにしてくれる「着物がある生活」を皆様に過ごしていただきたい・・・
 
叶や 桑原